- 2008-08-13 (水) 21:47
- Bio
少し古い話になってしまいますが、この四月にCertolizumab Pegol がFDAに認可されました。Certolizumab Pegol はTNG-alphaに対する抗体のFab fragmentにPEGを付けた分子です。なぜPEG化したかといえば、理由は以下の通りです。
Certolizumab pegol is a recombinant, humanized antibody Fab’ fragment with pecificity for human TNF- (manufactured in Escherichia coli), conjugated to a 40 kDa polyethylene glycol (PEG) to enhance plasma half-life.
Nature Review Drug Discovery (http://www.nature.com/nrd/journal/v7/n8/full/nrd2654.html)より引用
PEG化すると、血中半減期の延長が期待できます。これは恐らく、非特異的な消失が防がれるためだと思います。ただFc部分を除去したら、Fabはプロテアーゼによる分解を受けやすくなったりしてしまうのか?この辺については調査したいですね。
ただなぜそうまでして、既にTNF-alphaがある中で、なぜこのような薬を開発したのでしょうか?この点については次の記事が答えています。
“There is an unmet need for an anti-TNF [tumor necrosis factor] therapy with the convenience of subcutaneous administration every four weeks and stable dosing for patients with moderate-to-severe Crohn’s disease,” lead author Stefan Schreiber, MD, from Christian Albrechts University in Kiel, Germany, said in a news release.
Medscapeより引用(http://www.medscape.com/viewarticle/559962)
既に同様のコンセプトの薬剤があったとしても、それを日々使い続ける患者さんにとっては投与経路や、投与間隔は非常に重要です。もちろん、ライフサイエンスの本質は過去に知られていないMOAに基づいた医薬品の開発にあるとは思いますが、剤形変更、投与間隔の延長は必ずしも容易なことではありませんし、また患者さんのQOLにも確実な貢献をすると考えられます。
そしてこれは患者さんのQOLとも関係すると思いますが、Fab化した最大の理由は恐らく生産コストの削減にあると思います。通常、抗体医薬品はCHO細胞を使った大量培養によって生産していますが、非常にコストが高いです。しかし、Fabの場合は、
Fab’ fragment is manufactured in E. coli and is subsequently subjected to purification and conjugation to PEG2MAL40K, to generate certolizumab pegol.
RxListより引用(http://www.rxlist.com/cgi/generic/cimzia.htm)
にあるように、大腸菌という低コストな生産宿主を利用することができるのが最大のメリットになるのだと思います。コストの話は先日も書きましたが、やはり無視できない問題です。抗体医薬品は高い!という固定概念にしがみつくのは、もはや製薬企業の甘えなのかもしれませんし、逆に言えば、交代医薬に求められる薬効は、これまでにない抜きん出たものである必要があると思います。今後コンスタントに素晴らしいターゲットが見つかるかわからない中で、PEG化Fabのような低コスト化の工夫がなされた抗体医薬品が世に出ることは一つの重要な戦略だと思います。
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