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バイオテクノロジー Archive
Mylotargの販売中止
- 2010-06-23 (水)
- バイオテクノロジー
Pfizerが販売するAML治療薬Mylotargが安全性上の問題から販売中止の決定をしました。
http://bit.ly/9l0rVV
MylotargはAntibody Drug Conjugateの最初であり、唯一認可された薬でした。CD33に対する抗体にラジオアイソトープをコンジュゲートした薬剤です。承認後の市販後調査を義務付けられていたようであり、その結果今回の結果に至ったようです。
使用すると、深刻な肝毒性が見られ、使用しない場合よりも死亡率が高まったということです。
http://bit.ly/aS16HP
Mylotargが認可された当時の背景は理解できていませんが、上記の記事から読みとくと、Mylotargは60歳以上の患者への使用に限ることで承認審査を加速させたとあります。そのために、十分に安全性が評価しきれていない懸念があり、市販後の調査で今回のようなことが判明したのかもしれません。
いずれにせよ、市販後に薬剤の販売が中止されることは製薬会社にとっても経済的な損失をもたらしますし、患者さんにとっても健康上の損失と不安を喚起させるものだと思います。だからといって良い薬であれば、より早く上市することは誰にとってもメリットのあることなので、このジレンマをとくことは容易でないことのように思いました。
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ゲノム解析を通じた癌の遺伝的メカニズムの解明
- 2010-06-10 (木)
- バイオテクノロジー
海外癌医療情報リファレンスに「高悪性度乳癌のプロファイルがゲノム研究により解明」という記事が載っていました。
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/nci_bulletin/index.php?page=article&storyid=402
内容を一部抜粋すると、
エストロゲン、プロゲステロン、およびHER2受容体陰性の乳癌をトリプルネガティブと呼ぶ。これらの腫瘍の遺伝的な基礎をさらに解明する取り組みの中で、シカゴ大学のDr. Christopher D. Brown氏らは15のトリプルネガティブ腫瘍と11のエストロゲン受容体(ER)陽性腫瘍のタンパク質をコードする遺伝子塩基配列を調べた。ヒトでよくみられる多くの変異を含め、全部で3万5000を超える遺伝子変異を検出した。
トリプルネガティブ腫瘍とER陽性腫瘍とを区別できる珍しい変異を数千種同定するに至ったが、通常多くみられる変異では腫瘍の種類を区別することはできなかった。
従来のように狙い撃ちで原因遺伝子を突き止めるという方法と組み合わせる必要はあると思いますが、網羅的に原因の候補と考えられる遺伝子を同定してしまい、その後個々にアプローチしていくという流れが主流になりそうです。
ただその場合には今回の報告にもあるように膨大な遺伝子変異の海の中から意味のある変異を見出す能力が必要ですし、その論理立てには既にわかっている遺伝子の機能やネットワークにおける役割への理解が不可欠だと思いました。
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パーソナルゲノムが切り開く未来
- 2010-05-20 (木)
- バイオテクノロジー
昨晩配信されたJMMの「絶望の中の希望」という医療レポートで、パーソナルゲノム研究(個人のゲノム配列を全て解読する)の最近のトレンドと、その将来性についての言及がありました。最近の動向が明快に理解できるので紹介します。この報告によると、LancetやNew England Journal of Medicineといった臨床医療系の最高峰の雑誌にパーソナルゲノム解析の事例が載せられるようになったということです。実際どんな研究がされたかと言うと、
欧州最高峰の医学誌Lancetの5月1日号にも、全ゲノム解析の研究成果が
発表されました。米国のスタンフォード大学の研究です。この研究では、心筋梗塞で
急死した家族を持つ患者のゲノムを解析したところ、心筋梗塞のリスクを高める3つ
の遺伝子多型、および心臓病治療薬の代謝に影響する複数の遺伝子多型が見つかりま
した。
と、新たなリスク因子(遺伝子)を同定することに成功しています。
こうした情報はこれから先、ますます増える傾向にあるでしょう。つまり、ある疾患の原因、あるいはリスクを高める遺伝子が次々に同定されていきます。それをどのように医療へ活用するのか?例えば、自分自身のゲノム配列を数万円で読んでおき、自分のリスクを知っておくべきなのか?あるいは、医療担当者はここで得られた情報をもとに治療の選択肢を絞ることができるか?など、可能性は多々あります。
希少疾患と関係する観点から言えることは、こうした情報を集めれば集めるほど、ひとりひとりの抱える病は個別のものになります。例えば、今まで使われてきた薬にも、ある特定の遺伝子に変異があると、効かないということなどがわかっていくと思います。そうすると、結果的にその薬が使われる範囲は狭くなり、あたかも希少疾患用治療薬のおかれるような状況になります。こうした未来に対して、製薬企業はどうビジネスを展開していくのか?答えは出せませんが、もはや目をそらせないところまできているような気がします。
全文はこちらで確認することができます。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/title22_1.html
(5/20 7:00現在、まだ更新されていません)
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医薬品の効果の持続性
- 2010-05-17 (月)
- バイオテクノロジー
昨晩Twitter上ではコメントしたのですが、こんなニュースが毎日新聞に載っていました。
リウマチ治療薬:投与やめても症状悪化せず…産業医大調査
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100513k0000e040010000c.html
簡単に言えば、リウマチ治療薬であるレミケードを投与して症状がよくなった人に投与をやめても症状が悪化しなかったため、高額な治療費のかかるレミケードを永続的に使わなくても良い可能性があるという記事です。
今回の研究報告のもととなる論文はこちらだと思います。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20360136
全文が無料で読めます。
http://ard.bmj.com/content/early/2010/04/17/ard.2009.121491.long
レミケードがTNFの阻害剤であることを考えると、投与をやめれば症状がまた悪化してくることが考えられるわけですが、実際にはそうなっていません。ただ論文中ではTNF濃度をモニターしていないようなので、TNF濃度が上がってきているのかいないのかはわかりません。
なぜ投与をやめられるのか不思議ですが、免疫系が修正されたということなのだろうと思います。Twitter上では
なんとなく今想像していたのは、TNFがあるとき一過的に急激に増加して、そのせいでさらにTNFが循環すると言うサイクルが生まれていたような場合です。そのような場合であれば、一度でもTNFを適正値に戻せば、元に戻ることになります。
のようにコメントしていますが、どれくらい妥当な結論か検討がつきません。この点について詳しい方は是非ご意見いただきたいです。
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iPS細胞で希少疾患の治療薬開発
- 2010-05-13 (木)
- バイオテクノロジー
少し前に日経新聞にこんな記事が載っていました。
京大、iPS細胞で希少疾患の治療薬開発へ 武田薬品が協力
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E2EAE2E0958DE2EAE2E7E0E2E3E29180EAE2E2E2iPS細胞を活用して希少疾患の研究を進めるというのは、研究を進めるための戦略としても悪くないように思いました。希少疾患の多くは先天的な疾患であり、そうした形質を有する細胞を用意することができれば、その性状の理解に役立つとかんがられるからです。
また、大手製薬企業が放っておいても行うであろう領域を研究するよりも、手を出さない分野のサイエンスを深めること自体も価値があると思います。情報がふえれば、新薬開発リスクも下がり、新薬開発に着手する企業も出てくると思います。今回は既に武田が名乗りを上げています。
懸念をあげると、仮にある新薬の可能性がわかってきたとして、それを武田が開発することができない場合、その新薬を他社が開発するときに、どれだけ障害があるのかというのが気になります。かなり厳しく囲い込まれてしまうのだろうかと心配です。
また、希少疾患に対する新薬が開発されない背景として、
患者数が国内で数十~数百人しかいない希少疾患の薬は、市場規模が限られるため製薬企業の研究開発対象になりにくい。
とあります。この記事に限りませんが、紋切り型に過ぎる気がします。実際にはサイエンスが深まっていないことや、治験の難しさなどの、別の次元の問題もあります。もちろん、この記事はiPS細胞の利用が主たる内容なので、言及していないのでしょうが、あまりに単純化されると誤解を招かないかと不安になりました。むしろ、製薬大手は希少疾患に対する薬の開発に乗り出してきているというのが現在の状況だと思います。だからこそ、今iPS細胞を活用して研究を進めることに更なる期待が寄せられるのだと思います。
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癌ワクチンのメカニズム
- 2010-05-10 (月)
- バイオテクノロジー
先日、FDAによってDendreonの癌ワクチンが承認されました。想定されるメカニズムは以下の資料にわかりやすく書いてあります。
http://www.dendreon.com/pdf/4128-ACI-Monograph-M5-nodisclaimer-print.pdf
その効果と薬価については別に議論されていますので、ここでは取り上げません。技術の側面からは、新たな技術が確立されつつあることは非常に画期的だと思います。この技術を使えば、既存の抗原を利用することでさらに薬効が向上するものも期待できるという汎用性があります。成功例が出たことで、同じような取り組みをしている会社には資金面、社内の活気など、いろいろな意味で追い風が吹くでしょうし、そのことがこの技術の更なる発展を促しそうです。
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蛋白質折り畳み異常と難病
- 2010-01-28 (木)
- バイオテクノロジー
タンパク質の折りたたみ異常が原因と考えられる難病は数多く存在します。ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病などその代表的な例です。
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=37657
ケミカルシャペロンなど、低分子によってタンパク質の安定化を促進することで、折りたたみ異常を回避しようという試みもされているように思います。以前に学会に行った際にも、そうした発表が増えてきているという印象でした。
折りたたみ異常に対する効果的な治療薬は存在していません。折りたたみ異常という点にアプローチする方法が開発できれば、上記の例に上げたような様々な疾患の治療に幅広く用いることができると期待されるので、その薬の売り上げもより大きなものになると期待され、大手の医薬品メーカーでも参入できるのではないかと想像しています。
問題は低分子シャペロンなどがどれほど効果的か?という一事に掛かっていると思いますが。
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SGN-35の一部開発権が武田へ
- 2009-12-25 (金)
- バイオテクノロジー
Seattle Geneticsの開発しているSGN-35の米国、カナダ以外の開発権が武田に譲渡されました。
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=37163&ref=rss&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+biotoday+(BioToday.com+[新着ニュース])&utm_content=Google+Reader
昨日のニュースとも関連しますが、次世代抗体としてのADCに対する開発は確実に高まっています。とはいえ、これは抗体という高分子と従来型の低分子をリンカーでつなげた分子です。品質管理など、過去に経験をしたことのない難しさがありそうです。
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Antibody Drug Conjugateの臨床での効果
- 2009-12-24 (木)
- バイオテクノロジー
今開発が最も進んでいるADCであるT-DM1のP2試験で良好な結果がえられているようです。
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=37191&ref=rss&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:+biotoday+(BioToday.com+[新着ニュース])&utm_content=Google+Reader
T-DM1はHerceptinの後継品で、toxinがcojugateされています。これによって、細胞傷害性を増しています。ADCはSeattle Genetics, ImmunoGenなどを中心に盛んに開発が進められていますが、最も先を進んでいるT-DM1の臨床結果がADC全体の試金石になりそうです。
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バイエルがMicrometのBiTE技術を導入
- 2009-12-18 (金)
- バイオテクノロジー
バイエルが固形癌の治療薬開発を目的にMicrometのBiTE技術を導入することに決めたようです。
http://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009/news2009-12-08.html
まだBiTEが固形癌に効果があるのか、はっきりとしたデータは公開されていなかったように思いますが、良い結果がもう出てきているのだと想像させます。がんに対する治療薬はかなりの数が開発されているものの、固形癌に有効なものはほとんどありません。その意味でBiTEをはじめとするT cell recruit技術には大きな関心が寄せられていますが、今回のdealはその効果を期待させるものです。
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