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薬価 Archive

薬価維持特例についての議論

Lohas Medicalに薬価維持特例の試行的実施に向けての薬価専門部会での話し合いの議事録がアップされています。

http://lohasmedical.jp/news/2009/08/24183133.php

非常にボリュームがありますが、私が気になったのはp3のヤンセンファーマの関口会長が説明している「日本の市場の魅力が非常に落ちてきている」という項目です。

http://lohasmedical.jp/news/2009/08/24183133.php?page=3

これは日本を一つの市場としてみたときに、薬価を含め、投資対象として割に合わないと本国が判断しているということを意味します。希少疾患の治療薬に関しても、欧米で認可された医薬品で日本で使用できないものは多くあります。しかし、それは日本の医薬品産業全体が持つ状況を単に色濃く反映させただけに過ぎないように思います。

以前にも異なるところで、日本の臨床試験のコストの大きさや市販後調査の負担の大きさについての不満を耳にしたことがあります。いずれも患者さんたちのメリットにつながると当初は考えて導入したのかもしれまれません。しかし、結果として新薬メーカーにとっての日本という市場の魅力が減ってしまえば、それはその薬が存在すれば健康を取り戻せたかもしれない患者さんたちにとっての大きなデメリットになるでしょう。

緩やかに日本はこの分野で世界に遅れを取り始めているように思います。

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なぜ医薬品の薬価にこだわるのか?

このサイトでは薬価に関する記事を頻繁に紹介しています。その理由は現在、抗体医薬などの高度なバイオテクノロジーを利用した医薬品や、希少疾患など治療対象となる患者さんの数が少ない医薬品については高額な薬価を設定することにより、利益を出すというモデルをとっているからです。

下記リンクは吉川医薬経済レポートがまとめた2008年の医薬品売上ランキングです。こちらを見るとわかりますが、上位に抗体医薬、分子標的薬などがランクインしているのがわかります。

http://archive.mag2.com/200908170409060000104198000.html

このモデルは現在までのところ有効に働いていると言えますが、一方でこうした高薬価な医薬品が利用者である患者さんたちにどの程度経済的な負担を与えているのか?という点が気になっていました。

仮に経済的な負担が大きいようであれば、このモデルがいつまで続くのか不安に思います。高いUMNを満たす医薬品の価値は高いと考えます。しかし、医薬品の値段は単純な需要供給の関係で成り立つというよりも、制度や保険に大きく依存しています。そのため、そうした制度や保険が現状のモデルを維持しない方向に振れる場合もあるのではないかと懸念しています。

それゆえに現状が患者さんをはじめとするステークスホルダーにとってどのように受け取られているのか関心がありました。

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薬価と治療法選択の関係~グリベックを例に

以前にも何度か取り上げているグリベックについて、その経済的な負担について患者さん自身のアンケート結果がPt Support.jpのサイト上で公開されていました。現在はまだ途中経過のようですが、薬価と治療法選択との関係を実感することができます。

詳しくはこちらのサイトから見ていただきたいのですが、

http://ptsupport.jp/cmlresult

概して次のような結果です。
  1. CML患者さんの3/4は医療費の支払いに負担を感じており、その傾向は2000年から根年高まっている。
  2. 医療費が高いという理由で、グリベックの内服を中止した人が全体の2.8%といた。また、中止にいたらないまでも中止を考えた人は全体の1/3にのぼる。
  3. CML発症により、約20%の人が仕事を辞め、約20%の人の収入が減っています。
現在はまだ途中経過ですので、最終的な結果が出たようであれば改めて紹介したいと思います。

http://ptsupport.jp/

ちなみに、これらの患者さんの全負担をまかなったとして、合計で15億円/年ということです。個の数字を大きいと見るか小さいと見るかはそれぞれの方の考えによると思いますが、不可能な数字ではないように思いました。

http://medg.jp/mt/2009/08/-vol-193-1.html

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米国では治療費が癌治療の選択肢に影響を与えている

日経メディカルオンラインで「米国癌診療の現実」と題して、医療費が治療法の選択に影響を与えていることを紹介されていた記事です。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/report/200908/511737.html

アメリカの癌学会ASCOでは学会として、この見解を認めた上で、癌治療を受ける患者にManaging the Cost of Cancer Careという冊子を配るなどの取り組みをしています。

http://www.cancer.net/managingcostofcare

アメリカはおそらく世界でもっとも抗癌剤が充実していると思いますが、そのトレードオフとしてこのような問題も発生しているのでしょう。

「現在、米国では、癌に適応のある薬剤が約170種類、承認されている。しかし、国民すべてがこれらの治療薬を利用できているとは言えないのが現状だ。医療保険を持たない国民だけでなく、保険を有していても、高額な値段のために一部の薬を利用できない患者が存在する。医療コストを減らし、ケアの質を上げることが必要」。2008年から2009年のASCOの会長を務めるRichard Schilsky氏は、会長講演のなかでこう語った。


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中医協での武田薬品長谷川社長の発言

ロハス・メディカルに中医協の薬価専門部会での武田薬品の長谷川社長の発言が載せられています。中医協というのは簡単に言えば、薬価を決めるための会議体ということになると思います。

http://lohasmedical.jp/news/2009/08/06135727.php

薬価維持特例などの措置を設けるべきとする根拠として以下のように述べています。

既に売上げ利益の半分以上を海外で上げている企業もあり、仮に国内市場で淘汰されても生き残りは図れると思う。われわれは、自分たちの将来がお先真っ暗だから薬価制度改定を提案しているわけではない。新薬メーカーとジェネリックメーカーの棲み分けを促進し、それぞれのビジネスモデルの中で体質強化をしていくことによって、日本企業にとって本当の競争相手である海外企業とグローバル市場で闘って勝ち取った富を日本に持ち帰ってくることによって、日本の繁栄にも貢献できるとの想いから、こういう提案を申し上げている

日本は言語の問題もあるのでしょうが、特に医薬品の分野では空洞化が進んでいるような印象があります。産業としての魅力がなければ、どんどん新薬の開発が遅れていきます。日本という市場に魅力がなくなれば、有力な企業は魅力のあるところに流れていくことになるでしょう。かといって、製薬企業のことだけを考えていればよいとも思えません。答えは出せませんが、ただ医療費を抑えるだけでよいということにはならないのでしょう。

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英NICE抗体医薬、標的医薬を支払い対象とせず


BTJの宮田編集長が blog で紹介しています( http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/2008/08/187057.html#more) が、イギリスの英国の医療経済査定機関NICEがAvastin、Nexavar、Sutent、Toriselを腎臓細胞がん患者に対してNHSの支払いを認めないガイドライン案を発表したそうです(http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20055155)。

イギリスの保険制度は日本と異なるため、私自身理解し切れていません。Wikipediaで調べたところ、イギリスでは公的な保険(NHS)と民間の保険とがあり、公的な保険は皆保険であるかわりに、対象となる薬剤が限定されているようです。詳しくは下記リンクをご覧頂ければと思いますが、原則としてEvidenceとコストパフォーマンスを極めて重視するという印象です。つまり、「値段の割りによく効く」必要があるということです。

http://en.wikipedia.org/wiki/National_Institute_for_Health_and_Clinical_Excellence

「既存医薬品よりも効き目は良いが高すぎる」抗体医薬のようなものは支払い対象となりにくいということだと思います。これが意味することは医薬品の価値を考える上で極めて重要なことだと思います。企業の研究所では、コストパフォーマンスについても多少の議論はありますが、基本的には「良い薬は値段なんて関係なく売れる!」という考えがあると思います。それはいかにも製薬企業的な考えなのかもしれません。イギリスに限らず、医療制度はどの国でもそれなりの問題を抱えています。今後、イギリスのように、医薬品としての承認はするけれど、保険の支払い対象としないような対応が医薬品によってはとられていけば、よほど画期的な医薬品を目指すのでなければ、これまでのような考えで薬を作ることはできないと思いました。

関連記事

Biotoday

http://www.biotoday.com/view.cfm?n=28565

WSJ health blog

http://blogs.wsj.com/health/2008/08/07/uk-says-kidney-cancer-drugs-arent-worth-the-cost/

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グローバル企業の進出を阻むモノ

WSJのHealth blogにPfizer社がフィリピンでの薬の開発について政府と意見が食い違っていることが紹介されています。

http://blogs.wsj.com/health/2009/07/28/the-philippines-pfizer-and-pharmas-global-growing-pains/



この記事ではグローバル企業と発展途上国との確執について簡単にまとめてくれています。また、こちらの記事では今回の記事とは対称的にグローバル企業が発展途上国にビジネスを展開しようとしている試みを紹介しています。



http://blogs.wsj.com/health/2009/07/07/big-pharma-looks-to-branded-generics-in-developing-world/



多くの薬剤が開発され、時間がたち、また従来の市場は医療費抑制の観点から市場規模の拡大が望めなくなっています。そんな中、今まで無視してきた発展途上国をもはや無視することができなくなってきているのだと思います。



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高額な医薬品の問題 2

先日紹介したJMMの記事の続きです。

http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_1693.html



JMMの記事は、高額な薬価が患者さんの治療にどのような影響を与えているのか、その具体的な事例として考えることができます。以下を見ると、薬の値段と健康とが確かに天秤にかけられていることが実感できることと思います。

私たちの研究室の田中祐次たちが調べたところ、慢性骨髄性白血病患者の世帯総所

得は2000年の508万円が、2008年には400万円に減少しています。一方、

治療薬グリベックの自己負担は2000年59万円、2008年58万円と横ばいで

すから、患者・家族の負担感は増加しています。実際に、約30%の患者が経済負担

のために、グリベックの中止を考えたことがあり、その中の10%が実際に止めてい

ました。まさに、金の切れ目が命の切れ目になっています。

重篤な病気を抱える方の場合、所得も減少する可能性があるため、60万円弱の出費は極めて大きなものだと思います。

この問題について患者団体が動き、7/17現在でインターネットを利用するなどして集めた署名が8万7千にものぼったとのことです。自民党、民主党、それぞれで対応が異なるという印象のようでした。今は衆議院選挙に向けての動きが活発化していますが、病気の問題もこの政治の流れによって大きな影響を受けることになります。逆に言えば、これだけの署名を集められれば、政治を動かすことも可能になるかもしれません。



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原発性肺高血圧症の場合

こちらのMRICというブログでは原発性肺高血圧症の治療費の問題が具体的に取り上げられています。

http://medg.jp/mt/2009/07/-vol-173.html



こちらでは原発性肺高血圧症の治療薬フローランの薬価が非常に高額である(年間で500万円以上)ために、次のような問題が生じていたということです。


フローランを処方する病院では、薬剤が高額なた

めに保険の支払い機関から減額査定をされるという事態が発生しました。減額査

定されると、保険償還されなかった金額を処方箋を出した病院で負担しなければ

ならないために、病院経営側からは肺高血圧症専門医に、「ある一定のフローラ

ン以上の薬剤を処方しないように」との指示が出されたために、「本来の患者の

命を救うために必要な」という目的がわすれられた、フローランの処方が行われ

るのが、医師の間に浸透してしまいました。



フローランの増量を希望する際の、医師との生々しいやり取りも紹介されています。

 では実際に医師は適量のフローランを処方しないことに関して、患者にどのよ

うな説明をしているのでしょうか?

(実例1 診察室での会話より)

 患者:「先生フローランの増量をお願いしたいのですが・・・」 

 医師:「申し訳ない!フローランを増量すれば良くなることは分かっているの

だけれど、僕首が飛んでしまうのだよ!」

(実例2 診察室での会話)

患者:「先生フローランの増量をお願いしたいのですが・・・」 

医師:「増量しても効果がないと思うよ!」



ここでも値段と健康とが天秤に乗せられている様子が明らかとなっています。製薬企業の研究開発投資を回収させるという目的で高い薬価をつけることになるのですが、治療法を浸透させるという意味ではそれだけではまだ足りないように思います。



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高額な医薬品の問題

JMMのコンテンツの一つである「絶望の中の希望~現場からの医療改革レポート / 上 昌広」で「お金がなくてがん治療が受けられない~グリベック自己負担金問題を考える(上)」というエントリーがありました。

http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_1682.html



記事をご覧頂くと、慢性骨髄性白血病治療薬グリベックの持つ光と影の両面が見えてきます。光の面は

特効薬を開発して、利益を生み出すことは、製薬企業のまさに理想です。グリベックは、まさに製薬企業の理想を体現した存在といっても過言ではありません。大きな売り上げが期待できれば、メガファーマも開発に参画できます。グリベック以降、抗がん剤分野に大手の製薬企業が参入するようになり、抗がん剤は新薬開発の花形になりました。現に、我が国でも、約10種類の分子標的治療薬が既に臨床応用され、数え切れない新薬が開発されつつあります。



すなわちグリベックは従来の治療薬と比べて、特効薬と呼ぶに等しい薬効を持つ特徴がある点です。しかし、患者数が少ないため、経済性を確保するために、その薬価は高額に設定されています。それが影の面です。


グリベックは、慢性骨髄性白血病を抱える患者、家族に大きな希望を与えました。しかしながら、同時に予期せぬ不安も作り出しました。それは、グリベックを使えば、家計が圧迫されることです。

 実は、グリベックは非常に高価で、1錠3100円もします。通常、1日4錠を服用するため、1日の薬代は1万2800円。年間で450万円になります。患者の自己負担額は1-3割ですから、年間の支払いは45-135万円になります。これは、降圧剤の薬価が1錠あたり20-160円で、年間の薬剤費が1.5-12万円、自己負担額が高くとも4万円程度であることとは対照的です。



詳しくは記事をご覧頂ければと思いますが、患者さんにとって高額医薬品がどんな状況を生み出しているのかが想像できます。



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