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Bio Archive

前立腺がんのスクリーニングの効果は?

  • 2009-03-22 (日)
  • Bio

前立腺がんのスクリーニングについては、その早期発見の効果があるのか否かという議論がなされてきましたが、決着がついていません*1


One study, run by the National Cancer Institute and including 77,000 men aged 55 to 74, hasn’t found a benefit from prostate screening after seven to 10 years of follow-up, as the WSJ explains.


A second article, which combined several European national studies that included a total of 162,243 men, did find a benefit to screening after an average of nine years of follow-up. Men in the screening group had a death rate from prostate cancer that was between 5% and 33% lower than men in the control group.





後者の結果は前向きなのですが診断の確度が低いようなので、コストがかなりかかり、その点で極めて悩ましいということです。



予防医学というか、深刻な状況になる前に手を打つという考え方には非常に賛同しています。しかし、本当にその人が将来深刻な状況に陥るのか?という確度が高くなければ、結局はいたずらにコストがかかってしまい、本来の趣旨の一つを満たせなくなってしまうのだなと感じました。



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AML治療薬CPX-351のP2試験のリクルートが始まった

  • 2009-03-21 (土)
  • Bio

AML治療薬CPX-351のP2試験のリクルートが始まった*1。CPX-351はOrphan指定されていますが、さらに興味深い点があります。それはCPX-351にはDDS技術が使われている点です。


CPX-351 represents a new approach to treatment, where synergistic molar ratios of combined drugs are encapsulated in a drug delivery vehicle in order to deliver and maintain the desired ratio following administration.





とあるように、DDSとなるビークル中に、複数の薬剤を好ましい比率を保ったまま投与できるよう工夫されています。記憶が定かでないのですが、liposomeなどの分子量が大きいものを薬として用いると癌に集積する性質があるようです。それは癌周辺の血管環境が通常のそれと異なっていることに起因すると聞いています。そのような意味でも二重の効果があるかもしれません。



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タンパク質製剤と低分子とが競合する

  • 2009-03-10 (火)
  • Bio

希少疾患であるITP (特発性血小板減少性紫斑病) の治療薬には、EltrombopagとNplateの二種類があり、いずれもthrombopoietin (TPO) receptorのagonist活性を薬剤です*1。ただし、前者は低分子であり経口投与が可能であり価格も安いですが、Nplateは以前にもご紹介したとおり(((http://d.hatena.ne.jp/trendinbio/20080827))((http://d.hatena.ne.jp/trendinbio/20090209))、Amgen社が開発するpeptibodyと呼ばれるpeptideにFcをつなげた高価なタンパク質製剤で、注射で投与します。



同じメカニズムで働き、更に同じ疾患に対して使われるのですから、そのまま考えれば大した違いなどなさそうですが、投与量、投与方法、価格など様々な違いがあります。詳細はこちらをご覧頂きたいのですが、



http://www.managedcaremag.com/archives/0901/0901.biotech.html



この記事の中で印象的だったのは最後の締めくくりの言葉でした。

But of more importance is the fact that science has progressed to the point where small molecules and biologic drugs are now competing in the marketplace for the same receptor and clinical endpoints, an event that again proves the importance of developing Tomorrow’s Medicine!



自分は不勉強で理解し切れていませんが、同じターゲットに対して同じ作用メカニズムで生物学的製剤を開発することの科学的な背景が非常に気になりました。



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Genzyme、Myozymeの製造拡大についてFDAの承認されず

  • 2009-03-04 (水)
  • Bio

GenzymeはMyozymeの製造拡大をするためにFDAに承認を求めていましたが、難しい状況を迎えているようです*1



バイオ医薬品の場合、製造環境を変えるなどして、完全に同じものを製造するのは極めて困難と考えられています。なぜなら、バイオ医薬品はタンパク質ですので、その製造プロセスにはCHOなどの培養細胞を使います。仮に同じ細胞を使っても、環境が変わると、生合成されるタンパク質の糖鎖などの微小構造が変化してしまい、承認を受けたものと同じ物質であるとは言い難くなってしまう場合があります。今回のMyozymeの場合も、恐らくは製造規模を拡大した結果、従来までとは異なる微小構造をとってしまい、それについてFDAが難色をしめしているのだと思います。



しかし、現在オバマ政権ではバイオ医薬品のジェネリック版であるbiosimilarを積極的に推進しようとしています*2。これは要するに、既に認可され特許が切れたバイオ医薬品と同じアミノ酸配列を持ったタンパク質を、「似たような環境」で作らせたものになります。しかし、同じ会社で、製造拡大が認められない現状で、他社がその壁を突破できるとは思いません。



政策と規制当局の考え方の違いなのでしょうか。



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”小抗体”の時代は来るのか?

  • 2009-02-19 (木)
  • Bio

小抗体(日本語だと変ですね・・・)の可能性について書かれた記事が掲載されていました*1(小抗体はscaffold, tiny antibody, small antibodyなどと呼ばれることが多いです)。



抗体医薬のいくつかはブロックバスターとなっていますが、一方で効果であり、複雑であり、分子量も大きく、物性もよくないという欠点があります。それを克服したような新たな抗体として、小抗体が考えられています。この企業で有名なのは、Ablynx, Domantis, Haptogenなどで、それぞれの分子はNanobody, Domain Antibody, Shark Antibodyです。



これらの分子が抗体医薬にとって代わるのか?というのは関心の的ですが、個人的にはなかなか難しいのではないかと感じています。理由は、市場において、小抗体と抗体との住み分けが難しいと感じるからです。抗体についてもbiosimilarといういわゆるgenericが市場に出てくる日もそう遠くないと思います。そうすると、価格という部分についての、小抗体の発揮できる強みは今よりも厳しいものになります。分子量が小さいために、質量濃度あたりの投与モル数は増加しますが、それはPKの悪さを補うわけにしかならない気もします。また、抗体が持つADCC活性等は持たないため、小抗体が代替できるのは中和抗体のみに限定されます。



これらのことを考え合わせると、やはり小抗体には独自の機能や特長が必要だと思います。Ablynxなどは経口化を検討しているようですが、このような抗体では難しい分野に積極的にチャレンジしていかなければ、この分野での成功はおぼつきません。



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遺伝子組換え生物の医薬品への使用

  • 2009-02-10 (火)
  • Bio

先日、GTC Biotherapeutics社が開発した遺伝子組換えヤギの乳が遺伝子組換え生物として初めて医薬品の承認をFDAから受けた話を紹介しました。



これはやはり衝撃的なニュースなようで、あちこちで報道されています。こちらにFDAの遺伝子組換え生物の医薬品ガイドラインが乗っています↓



http://www.fda.gov/cvm/geanimals.htm



例えば、インスリンのように慢性的に摂取するものや、サルモネラ、大腸菌に抵抗性を示すような物質を産生させることでその食品の質を維持したり*1ということが考えられているようです。後者の場合は、どちらかというと遺伝子組換え食品のような気がしますが。



日本ではあまり遺伝子組換え食品ですら受け入れられていないという印象を持っています*2。医薬品であれば受け入れられるのでしょうか?個人的にはその点について懐疑的です。特に希少疾患の治療薬である場合、どうしても患者さんの声が「小さい」ため、不安や恐れの大合唱でもみ消されてしまいそうな気がします。医薬品の場合、使用が患者さんに限定されているため、問題ないと思うのですが・・・。いずれにせよ、日本は新しいバイオテクノロジーの普及については尻込みしやすい印象を持っています。これが患者さんにとってのデメリットにならないことを祈ります。

*1http://online.wsj.com/article/SB123394091447257593.html

*2:日経BPの宮田満氏のブログに詳しいです。http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/



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Nplateが特発性血小板減少性紫斑病治療薬として欧州で承認された

  • 2009-02-09 (月)
  • Bio

以前に紹介しAmgen社のNplateたが特発性血小板減少性紫斑病の治療薬として承認されたようです*1



特発性血小板減少性紫斑病は100万人に11人で発症するという希少疾患で、日本でも難病に指定されています*2。この疾患を患う方は血小板に対する自己抗体が生じた結果、血小板が減少してしまい、種々の出欠症状を呈するようになってしまいます。治療法にはステロイドや免疫グロブリン投与などがあるようです。今回のNplateの承認は「コルチコステロイドや免疫グロブリンなどの治療に抵抗性を示す」患者さんに限定しているようです。



難病情報センターの情報によると、特発性血小板減少性紫斑病は「小児に多くみられる急性型の大部分は自然に治癒し、慢性型に移行するものは10%程度です。慢性型でも約20%は副腎皮質ステロイドで治癒し、さらに摘脾で60~70%が治癒します。」また「致命的な出血を来して死亡する例はまれなようです。」とのことですので、Nplateの使用は極めて限定的な局面に限られます。つまり、この疾患の治療のためだけの薬剤であれば、開発は困難であったと考えられます。その意味で、今回のように適用拡大を通じての提供しか困難であったのではないかと想像されます。いずれにせよ、患者さんのQOLの向上に一役買ってくれると期待されます。



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遺伝子組換えヤギを利用した医薬品

  • 2009-02-08 (日)
  • Bio

FDAが遺伝子組換え動物を利用した医薬品を初めて承認したようです*1。具体的には、GTCバイオセラピューティクス社がアンチトロンビン欠損症の治療薬としてアンチトロンビンを製造する。その製造方法がユニークで、遺伝子組換えをしたヤギにその乳の中に同タンパク質を発現させ、そこから調製してくる。



アンチトロンビン欠損症はいわゆる難病で、わが国でも難病指定されている*2。この遺伝子組換え動物を使うことでどのようなメリットが期待できるのか?は理解しきれていませんが、コストが下がるなどのメリットがあれば慢性的にそのクスリを摂取し続ける患者さんにとっては朗報になると思います。



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脳移行技術を会社にGenzymeの元ジェネラルマネージャーが社長に就任した

  • 2009-02-07 (土)
  • Bio

脳移行技術を売りにするto-BBBという会社にGenzymeの元ジェネラルマネージャーが社長に就任したようです*1。一般に、医薬品の多くは脳へ移行しません。それは脳にはBlood-Brain-Barrier(BBB)というバリアがあり、特定の化合物以外は透過することができないためです。これは通常であれば、脳にダメージを与える毒物等から脳を守っているのだと思いますが、治療したいのがいわゆるcentral nerve system (CNS)関連の疾患であれば、大きな障害となります。



CNS関連の疾患として有名かつ重大なのはアルツハイマーです。しかし、それだけでなく先日話題にしたライソゾーム病もCNSへのダメージがあります。酵素補充療法を使えば、全身の酵素を補充できるはずなのですが、脳に外因性の酵素が移行せず、結果として脳では酵素補充が行えていないためであると考えられています。to-BBBに関連するニュースでも、


Based on the current Proof of Concept data with the G-Technology and on existing opportunities, the company will focus its in-house development efforts on brain tumors, Alzheimer’s disease and also on Lysosomal Storage Diseases.



とあり、アルツハイマー病と並んでライソゾーム病にも取り組んでいるようです。



脳への移行にはいくつかの戦略が考えられます*2。その中の一つが受容体依存的な移行(RMT)です。これは脳が特定のペプチドやタンパク質をレセプターを介して、取り組むという仕組みを利用したものです。to-BBBが保有する技術の一つであるG-technology(台湾のITRIから導入したようです((http://www.tobbb.com/images/upload/2008%2011%2012%20Dutch%20biotech%20company%20to-BBB%20and%20Taiwanese%20ITRI%20sign%20exclusive%20license%20agreement.pdf)))はグルタチオンを化合物やペプチドにつけ、脳に発現しているグルタチオンレセプターを介して脳へ目的の化合物等を移行させる技術のようです*3



脳へのドラッグデリバリーはunmet medical needsを大いに満たす可能性を秘めています。その技術を保有する企業に、希少疾患への取組みが盛んな(今回の場合であれば、酵素補充療法を得意とするという方がより適切でしょうか)Genzymeの元exectiveが参画したことは大変興味深く、この技術の将来が楽しみになりました。



難病と呼ばれる病気は研究が進んでいないために原因がわからずに治療法がない場合と、原因は明らかだが、技術的に解決が難しい場合とがあります。後者の問題を解決するには技術革新を続ける以外にありません。その点で、このような会社の発展は極めて有意義だと思います。



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Biosimilar Mabはblockbusterになるか?

  • 2008-10-21 (火)
  • Bio

先週のことになるが、Decision Resourceのデータをまとめたこんな記事が出ていた。



http://findarticles.com/p/articles/mi_m4PRN/is_2008_Oct_14/ai_n30893241より


Biosimilar Monoclonal Antibodies in Oncology Will Approach Blockbuster Status by 2017



The new special report Biosimilars 2007-2017: Shifting Payer and Physician Opinion Increases the Hurdles to Uptake forecasts that sales of biosimilar Herceptin will approach blockbuster status in 2017 in Europe alone, and biosimilar Rituxan/MabThera will garner $940 million in sales by 2017 in the United States, France, Germany, Italy, Spain and the United Kingdom.



900 millionとは立派過ぎる数字だが、十分にありえると自分も同意します。それは現在の抗体医薬が高すぎるため、少しでも安いものを使いたいと思うのが普通だと思うためです。それに、oncologistがbiosimilarの私用について積極的だということや癌の患者さんの入れ替わりも激しいため、biosimilarがよく使われていくだろうとも記載がありました。



また、Mab in oncologyについてはbiosimilarが生きるだろうが、それ以外の、特に慢性疾患の領域においては状況は異なるということでした。患者さんのturnoverも少なく、長く投与するものなので抗原性などの副作用についてわずかな違いが大きな影響をもたらしかねないとのことからかもしれません。



ところで



Biosimilarもその一部に含めてしまってよいと思いますが、Generic医薬に対する大企業のアプローチが活発化しています。





  • Pfizer Goes Generic (WSJ Health Blog)

http://blogs.wsj.com/health/2008/10/16/pfizer-goes-generic/



ただし、これについては先人を切ったノバルティスは厳しいコメントを出しています。



  • Novartis Shows Generics Can Be Tricky Business for Big Pharma

http://blogs.wsj.com/health/2008/10/20/novartis-shows-generics-can-be-tricky-business-for-big-pharma/


With Big Pharma increasingly moving into the generics business, it caught our attention this morning when Novartis CEO Dan Vasella said he was “disappointed” with the quarterly results for the company’s Sandoz generics business.



CEOは失望したとのコメントを出していますが、その実情は下記の通りだそうです。


In Novartis’s third-quarter results, however, the Sandoz division showed signs of slowing. Sandoz’s net sales were up 7% to $1.9 billion, but that came after double-digit growth in 2007 and the first half of 2008. In the third quarter, the unit’s sales rose at a strong clip in some regions, such as in Central and Eastern Europe, but were offset by a decline in the U.S., where Sandoz had no new product launches.



FDAの承認の問題もあるでしょうし、仕方がない気もしました。ただ、その感覚は新薬メーカーの感覚なのかもしれません。Genericメーカーに課せられた使命は常に新しい薬をlaunchすることなのでしょう。開発上のリスクが極めて少ないわけですから、計画化もしやすいでしょうし。



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